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部下に「ダメ出し」ができない
上司が増えている!
前回は、引っ込み思案タイプにリーダーを任せるための伝え方をご紹介しました。
今回は、部下が作成した未完成の企画書に、どのようにうまく指示をすればいいのか、という方法をご紹介します。
私は、企業研修講師の仕事もしていますが、最近の時代の流れでしょうか? 部下にダメ出しができない上司が増えているように感じます。
「最近の新人はダメ出しすると、すぐに潰れるから言いにくい……」
上司がつい及び腰になって、部下にダメ出しして面倒になるぐらいなら「自分で直した方が良い」と言う人もいます。
しかし、これでは新人が育ちません。
適切なダメ出しができないと、新人は自己基準が甘くなって、甘えてしまいますし、いつまでも自立しない、上司依存型新人になってしまいます。
また、部下自身に主体性があっても、「どうせ、上司が直すし」とか、「自分は信用されていない」と感じてしまうと、モチベーションが下がってしまう人もいるでしょう。
では、どうやってダメ出しをすれば部下が潰れずに、成長に繋がるのでしょうか?
そのカギは、「責任感を与える」ことです。
新人の頃は、上司から「企画書を作ってほしい」と言われて作ったとしても、「これは上司に頼まれた仕事だから」と仕事の主体が自分ではなく上司に置きがちです。
その考え方で仕事をしていると、その企画書のでき自体に責任を持ちません。
「上司が最終的には見てくれる」「指示通りにやればいい」という、頼まれ仕事や作業になってしまいます。
そうなると、いつまでも上司依存で指示待ち人間になってしまうのです。
ですからダメ出しをする時は、企画書のダメな部分を指摘したり、修正方法を最初から教えるのではなく、「君を信頼して、企画書の作成を任せている」ということを伝え、自覚を芽生えさせ、その上で、自分の責任で企画書を作り上げるという主体性を育てるのです。
そう考えると、逆にダメ出しをしないということは、その部下を一人前の人間として見ておらず、信頼もしていないというメッセージにもなるのです。
上司の姿勢としては、部下を一人のビジネスパーソンとして認め、その成長を期待するからこそ、ダメ出しをするという姿勢です。
しかし、全員同じようにダメ出しをしてはいけません。
相手のキャラを見きわめて
伝える!
この時も、相手のキャラを見きわめてダメ出しをすることが大事です。タイプ別の性格の詳しいご紹介は、本書をご覧いただきたいのですが、通常、人は、次の4タイプにわけることができます。
◆ガツガツタイプ(いわゆる積極的なタイプ)・・・「君なら周りが驚くような結果を出せると期待しているのに、このクオリティでは物足りないなぁ。エースの〇〇先輩の企画書参考にして、〇〇を超える企画書作ってみよう!」
◆やわらかタイプ(貢献欲求が強い、縁の下の力持ちタイプ)・・・「君が良い企画書を作ってくれることで、部署のみんなが助かるんだよ。今のままでは、単なる作業になってしまうから、もっとみんなに感謝されるような仕事のクオリティを目指そう!」
◆ロジカルタイプ(感覚よりも、データを重んじるタイプ)・・・「過去事例や先輩の企画書の型を盗めば、新人だと思われないような説得力のある企画書が作れるはずだ。君なら専門性を生かした企画を作れるはずだから、もっとこだわりを持って作ってみよう!」
◆おもしろタイプ(個性的で上の3つに当てはまらないタイプ)・・・「新人ではまだ誰も任されない領域を、君の発想力や企画のセンスを認めて任せているんだから、他の人と変わらない企画では面白くないだろう?君の良さを発揮して、周りが興味を抱く面白い企画書を作ってみよう!」
相手のキャラクターを見きわめながら、良い部分を認めて尊重しつつ、責任感や主体性を引き出せば、本人もやる気になって企画書を作り直すでしょう。
ダメ出しによって、モチベーションを下げるのではなく、ダメ出しをすることによって、「上司に期待されている」「自分を認めて任せてくれている」という気持ちにさせて、責任感と主体性を引き出すのです。
そう考えれば、もうダメ出しは怖くないはず!
ぜひ、部下から「感謝されるダメ出し」をしてみましょう。きっと、部下思いの上司という評価になるはずです。
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